新潟市内のシティホテルが全て満室になったわけ
あの日の新潟市内のホテルの埋まり具合は大変なものでした。大きなシティホテルもビジネスホテルも、客室数の多いチェーン展開している格安のホテルも全て満室。
当時は私たち観光案内所スタッフが直接ホテルに電話をして予約をしていたのですが、いらっしゃるお客様全てをお断りしなくてはならない状況で、本当に困ってしまいました。
満室の理由は「学会」。新潟大学の工学部が主催した。大きな大きな国際大会が新潟で開催されたことにより埋まってしまったのでした。
着流しのイケメンおじいちゃんと可愛い女子大生
ミニスカートを履いた可愛い女子大生風の女の子と、粋な着流しの初老の男性が観光案内所の自動ドアを入って来たのはお昼過ぎのこと。
おじいちゃんの写真がなかったので(お客様ですもの、あるわけないですよね)。着物で出歩くことが大好きな友人男性の写真をお借りしてみました。真面目に、こちらの彼は着物姿で新潟を闊歩しているので、いつか彼のお話もお伝えさせていただきたいです。
美人が三人お出迎え
お話しを元に戻します。はい、美女が三人、横並びになってお迎えする形の新潟駅万代口観光案内センター。案内所の母体は財団法人新潟観光コンベンション協会。(現在は美人は二名の体制になっております)
運営にはJRからの派遣スタッフと佐渡汽船観光からの派遣スタッフ、そして、観光コンベンション協会からのスタッフが各社一名ずつ一日三名体制で勤務となっていました。新潟の玄関口ですもの、毎日数百名のお客様がいらっしゃいます。
案内所の入り口を入ると向かって左手にJRからの可愛い女子。真ん中が観光コンベンション協会の席。佐渡汽船観光からのおばちゃま。もしくはおばちゃまがお休みの日に代わりに来る可愛い若い女子たちは毎回よりどりみどり。
真ん中の不思議
わたしはいつも真ん中の席担当。ほとんどのお客様が自動ドアが開いて案内所の中に入ると、わたしに向かって来る、この人間心理?の不思議。人は「真ん中」が好きなのか?
写真はおむすび屋さんを営む友人が作ったおいなりさんと押し寿司ですが、「三つの真ん中」のイメージを探していたら出てきたので、載せてみました。(こちらのおいなりさんと押し寿司についてもちゃんと別の記事で書くからね)
というわけで、今回のイケメンおじいちゃんも私が対応。キャンセルが出ていないかいくつかホテルに確認の電話をするのですが、ホテル側もほとほと困り果てる始末。せっかく新潟に来てくださったのに申し訳なく思いながらお部屋が全て満室ということをお伝えしたら…
なんと!!男性が怒り出してしまったのです。「新幹線に乗ってここまで来たのに宿が無いとはどういうことだ!!」学会が開催される日はこのようなことになると説明してもお耳には入らない様子。仕方が無いので、ただ、ただ、男性のお話をお聞きする。
話を聞くことも案内所ガールのお仕事
観光案内所とは名ばかりで、わたしたちはよくふらっとお寄りになるお客様のお話を聞かせていただくこともかなり多いのです。
仕事のこと、恋の悩み、近況報告、毎回同じパンフレットを所望して同じ観光案内をしてもらって帰っていく方。その方々の姿が見えると、よく同僚たちに「ほら、あなたのファンが来たわよ」とからかわれたものです。
もしかするとわたしだけ???かもしれません。他のスタッフは淡々と仕事をするので、あまりお客様と個人的なお話にはなりません。わたしは人と交流することが大好きなので、ついついその方のひととなり、お好きな食べ物、普段の暮らしの中で大切にしていることなどもお聞きしたい思うのです。
今回もそのように気持ちを向けていました。ひとしきりお話しするうちにイケメンおじいちゃんの少し気持ちが落ち着いてきたので、気になっていたことを聞いてみたい気持ちがムクムクと膨らんできました。でもまさか「こちらの女性は恋人なのか?」とは聞けなーーーい。
寅さんの街
そこで「今日はどちらからいらっしゃったのですか?」とお聞きすると「東京は葛飾柴又、寅さんの街からやって参りました」とニッコリ。道理でいなせな言葉遣いと納得。
だんだん気持ちもほぐれてきたようで、先ほどまでの怒りはどこへやら、熱心に今日新潟に来ることになった経緯をお話ししてくださいました。その中で「孫がね、一度も新潟に来たことが無いって言うから」
ああ、勘違い
ん?????「あ、お孫さん」そう繰り返すわたし。あらまあ、わたしはなんて勘違いをしていたのだと、恥ずかしくなりました。
え?どう勘違いしていたのか?それはね、可愛らしい女性はどこか夜のお店のキャバ嬢のような方で、おじいちゃんはそこに通うお客さんかと思っていたのです。はい、大変失礼いたしました。
心のこもったお手紙が届いた!
着流しの紳士はお孫さんとの新潟観光を楽しんだそうで、後日お礼にお手紙が届きました。可愛い切手が貼られていてお孫さんが選んだのかなぁ?と思わずニッコリ。下町の銘菓?なのかしら、美味しいモナカも一緒に届いて、同僚たちと一緒にお茶の時間にいただきました。
お茶とモナカをいただきながら「あんたは本当、モテるねぇ(笑)変わったお客さんたちに」先輩のSさんがそう言って笑いました。そう、わたしが引き受けるお客様たちは、いつもどこか「普通じゃない(笑)」のです。
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